*通勤電車の悲劇 仕事持ち帰るのもほどほどに [社会に出てから]
この週末は、文化の日に絡めて学園祭の学校が多いようですね。
midori は、何の因果か会社員をやっております。
この会社ですが、学園祭の時期あたりから、毎年忙しくなるんですね。
で、年度末の3月終わりまで続きます。ノルマ厳しー。
特に12月、1月、2月は地獄です。
始発出社、終電退社は当たり前、通勤時間さえ仕事にあてたりします。
そして悲劇は起こるのです・・・。
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その頃はM市に住んでいた。地下鉄T線で会社の最寄り駅まで1本。
乗車時間は35分。ドアtoドアで1時間5分。
首都圏の通勤時間としては、平均より少し近いほうではないだろうか。
その日も書類を電車内でチェックしようと(帰りの電車で1日5本と決めてやっていたのだ)、
つり革に通した左手で書類を持ち、右手にシャープペンを持って、書類に目を走らせていた。
3本ほど終わり、家に近づいてきて、車内も空いてきた。
半分以上済んで少し気が抜けたのか、たいした揺れではなかったのに、大きくよろめいてしまい、
右手でもう一つつり革をつかんだ。
その拍子にシャープペンが指の間からすり抜けた。
「ちっ落としちまった」と思い、誰かにぶつかってなきゃいいがと視線を下げた瞬間、凍りついた。
シャープペンは座っている人の上に落ちていた。
酔っているのかさっきから熟睡しているオジサンの上に。
気がついていないのが、ただ一つの救い。
だって、それは、そのシャープペンは、オジサンの・・・股間のすぐそばに落ちていたのだ。
ヤダもー、なんでよりによってこんなとこにー、アタシが何をしたってゆーのよぉー
と、横座りになり、さめざめと泣き崩れる女が頭に浮かんだが、
書類はあと2本残っている、しのごのろくのななの言ってる場合ではない。
やれ、やるのだmidori!
キッと決意したmidori は、日頃拝んだこともない神様・仏様に
「無事取れますように、オジサンが目を醒ましませんように・・・」
と祈りながら、左手につり革をしっかりつかんで、体をゆっくり沈めていったのだった。
車内は空いていた。
車両のどこからでも、明らかに不審な行動のmidori の姿が見えたと思う。
車内の空気が、張り詰めたものになっていくのがわかる。
だんだん、「無事に」とか「気ィつくなよ」とかいう願望ではなく、
「頼む! 電車よ揺れないでくれぇ~」という祈りに変わった。
だって、ガタンなんて揺れて、顔突っ伏しちゃったりしたらどーするよ~!!!
余計なところに触らないように、これでもかというくらい慎重に慎重に近づき、
ぱっ
と取れたその瞬間、
ふっ
と緩んだ車内の空気が忘れられない。
思わずガッツポーズなんか挙げたりしたら、やんやの喝采が返ってくるような雰囲気であった。
いやホントに。
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あの後は、車両を当然移って残りの2本にとりかかったんですが、
雑念が入って全然出来なかったですね。
それからも変わらず車内で仕事してましたよ、何か落とさないように気をつけながら。
今の住まいは駅2~3コで着いちゃうんで読書もできませんが。
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Sho様 nice!ありがとうございます。
by midori (2006-07-23 19:50)