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夏にご用心! [中学時代]

そうそう。

夏は心のカギを甘くする。

さぁ あなたも ご用心。

 

 

 

都心に15年以上も住んでいるが、
いまだに この蒸し暑さに慣れない。

生まれ育った地方が海のそばだったからさ、
海を渡り稲穂をくぐって家に入ってくる風は、
それはそれは爽やかなもんだったのよ。

だからね。

そらぁ海のそばだって暑いよ、もちろん夏は。
ただし日差しの照ってる所さ。

日陰に入ればすぐ汗が引くような気候じゃ、
屋外プールなんてぇもんは、寒くて入っていられないわけ。
乙女の唇は、すみれ色。
(いや、ニキビ面の男子も。いやいや、オッサンもだけどさ)

というわけで。
学校にありませんでした、プール。
でも水泳の授業はあるんだなコレが。年に1回。

「水泳訓練」という名の、
市民プールを借り切ったイベントにて決行されるのだ。

小学校ンときは、なんでもなかったのにさ、
中学生になると、ヘンにみんな
自意識過剰になるっしょ。

「見学組」多数。
特に女子の多さといったらあーた。

「本当に身体の具合が悪いんなら、
 医者の診断書もってこいっ!!!」
って怒鳴りまくってたなー学年主任(アホか)。

まぁねぇ、あれだけ「私も」「私も」って手挙げられたら
怒鳴りたくなる気持ちもわからんでもないが。
あたし? もちろん見学(笑)。
公衆の面前で水着なんか着れるかっ。 

しかーし。
見学だろうがなんだろうが、
スクール水着は着用義務だったっス。

当日。

ズラリとならぶ見学組。
実施組の邪魔にならないように(なんせ多いから)、
アンド寒いので、女子同士くっつき合って体育座り。
痛いのよねコンクリの床が尻にさ。

とりあえず基本カナヅチが前提だから
(寒くてまともに真水になんか入れないんだから、
 温水プールに通えるような裕福な家の子しか
 泳げないんだってば)、
25mプールだけど、タテではなくヨコに使う。

プールをはさんで、実施組はあちら、見学組はこちら。
見学組が見守るゴールまで、なんとか泳ぎきって
タオルをかけてもらう、
「太郎さんスゴイのね見直したわ」
「いやぁ君が応援してくれたおかげさ」
「わたし、お弁当作ってきたのよ、太郎さんに食べてもらおうと思って」
「えっ本当かい嬉しいなぁ。じゃあ花子さんのために、午後も一等賞を狙わなきゃ」
「まぁステキ」
「おいこら、黙って聞いてりゃ調子に乗りやがって」
「なんだ君は」
「イチャイチャしやがってよう。おー熱い熱い」
「失敬だぞ君。向こうへ行きたまえ」
「なんだとお。こいつめ」
「きやああ」
「汚い手で花子さんに触るなああ」
「やりやがったな。野郎ども、かかれ!」
「うああ!」
「太郎さんっ!」
「花子さんは後ろに下がってるんだ。
 青大将、貴様という奴は。今日こそは許さん!!」
「のぞむところよ」
「太郎さん負けないでえっ!!」

・・・暴走した。スマン。

気を取り直して。えっと、なんだっけ。
そうそう。・・・という段取り。

だから、向こうから泳ぐだか溺れるだかしながら
こっちに必死で向かってくるわけだ。
で、無事生還したらタオル投げてやるってことさ。
上がって来る頃には、もう歯の根が合ってないからねぇ。
(そこまでしてやる必要があったのだろうか)

で。その年の夏。

実施組がプールサイドで
「泳ぎの極意」の説明を受けている頃。
そして我々見学組が、懇々と
嫌みったらしい説教を頭から浴びている頃。

何を思ったか、
一人の教師がプールに飛び込んだ。
女。独身。婚約中。音楽担当。

見学組のほうに向かって、笑顔で平泳ぎ。
泳ぎに自信があんだろ。得意げで。誇らしげに。

見学組から声が上がる。
教師、ますます満足げに向かってくる。

生徒の歓声が大きくなっ  いや、悲鳴?

「うそ。。。」

自分の目が
みるみる大きく見開かれていくのがわかる、
口をポカンと開けてしまう、それは
信じられない光景。

他の教師が異変に気づく。
別の女教師が慌ててプールに飛び込む。
本人は笑顔のまま。真っ直ぐこちらへ向かってくる。

狂乱する生徒の絶叫と
なんとか押さえつけようとする教師の怒鳴り声。
そして、意味不明の事態に混乱する実施組。

すべてがスローモーションの記憶。

 

気が付くと。

我々見学組はプールに背を向けて座らされていた。
件の女教師は、おそらくすぐに帰ったのだろう。
いられまい。

 

 

彼女が着ていたのは、
首の後ろで縛るタイプの水着で(わかるよね?)、
縛り方が緩かったらしく、
本格的な平泳ぎで上半身を水面から出すたびに、
そのたびごとに水着の前が下がって、
おそらく中学男子には一番見せてはいけないものを
さらしてしまったんだねぇ。

・・・いい笑顔だったけどね(笑)。

 

 

大丈夫ですよ、ご心配なく。
彼女は翌年ちゃんと嫁に行きましたから。

センセ今頃どうしているかしら。
あんなことがあったの、忘れちゃったかしら。
忘れたいわな、どうしたって。
つーか、憶えてんなよそんなこと、
てか、書くなよっこんなとこにっっっ! だよね。
へへへ書いちゃうもーん。

 

あぶない、あぶない、
夏はホントに ご用心。


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コメント 1

midori

すんません、
顰蹙買うような記事にnice!くださって
恐れ入りますぅ。。。
by midori (2011-08-22 11:31) 

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