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*春に大雪がやってきた! 前編 [家族]

この冬は、とにかく寒いですねー。
昨年11月までは暑かったくらいなのに、12月に入り大寒波が到来。
いまだに居座り続けています。
大雪が降り続いている日本海沿岸にお住まいの方々のご苦労は大変だと思います。

midori の住んでいるのは関東なので、雪にあまり縁が無い恵まれた土地ですが、
昭和61年の春に突然やってきた大雪の影響を、midori の家はまともにくらってしまいました。
その顛末を、話せば長いので2回に分けてお送りしたいと思います。

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中学を卒業し、高校も無事合格し、のんきな春休み。
小学4年生の弟が、映画「北○の拳」を観たいと言い、
親が連れて行ってやれと頼むので、春分の日、私は弟を連れて出かけた。

午前中は冷たい雨が降っていた。
ローカル線で4つ目の繁華街である某駅で降り、
20分ほど歩いたところにある地方デパートの4階へ上がる。
映画館の客は、5割の入り。
そろそろ16歳になる私には この映画は退屈だったが、
弟は堪能したようだった。
「アタタタ・・・」と言いながら、私に攻撃を加えてくる(痛いってばー)。

終わったら昼を過ぎていたので同じ階のレストランで食事をし、
(姉弟だけでこういうふうに出かけたのは初めてだったので、弟は はしゃいでいた)
エスカレーターで、1階まで降りた。

「・・・・・・・・・・・・」

1階出口の自動ドアから見える外の風景は、ただ真っ白な世界。
「ええーーーっ・・・・・・」
外は、横なぐりの吹雪であった。

太平洋に面した関東地方で、夏涼しく冬暖かな気候であり、
雪なぞめったに積もらない地域である。しかも今は春休み。
何コレ?!
私と弟は、しばしポカンとしてしまった。

か、帰らなくちゃ。
そう思った私は、不安そうに見上げる弟をうながして、外に出た。
とにかく、駅までは行かなければ。電車に乗れば、なんとかなる。そう思ったのだ。

歩き出したものの、強風の吹雪の中、思うように前に進めない。
雨が雪に変わってからまだ何時間も経っていないと思うのだが、
道にかなり積もった雪が足元を邪魔する。冷たい雪が、靴の中に入ってくる。

「寒いよー、冷たいよー、まだ着かないの?・・・」
弟が泣き言を言い出す。まだ10歳だから仕方がないのだが、
私も中学を出たばかりである、為す術がない、というか思いつかない。
「とにかく歩いて! もうすぐ着くから! 駅に着けばあったかいから!」
と手を引っ張るしかなかった。泣きたいのは、私も同じだった。

普通に歩けば20分の道を、この悪天候で50分ほどかかった。
私と弟は凍え切っていた。
駅の構内は、同じように駅に避難した人たちでごったがえしている。
早く電車に乗って、あったかい家へ帰ろう!
そう思った二人に、無情のアナウンスが響いた。
「○○線は、大雪の影響により、現在、上下線ともストップしております。
復旧するまでお待ちください」

ええーーー、そんなぁーーー!!!

弟が私を見上げる。不安で仕方のない顔をしている。
弟が泣き出す前に、私は奇跡的に一つだけ空いていたイスを見つけ、
弟を座らせて、私は飲み物の自販機の列に並んだ。
誰もが温かい飲み物が欲しくて、長蛇の列である。
何分も並んで、やっとありつけたが、あたたかい「ウーロン茶」しかなかった。
私も弟も、このお茶が苦手なのである。
が、飲まなくても手を温めるだけでもいいので買った。
私の少し後に並んだ人たちには、もう冷たいものしか残ってなかった。

弟にウーロン茶を渡し、「えーこんなの飲めないよー」という声を
背中に受けながら、今度は公衆電話の列に走る。
列はとぐろを巻いて、外まで遠く延びている。
ポケットに手を突っ込み、足を踏み鳴らしながら、じっと順番の来るのを待つしかない。

20分ほど並んだところで、弟が駆け寄ってきた。
「何だよ、座ってろよ、他の人に座られちゃうだろ!」
「電気が消えちゃったんだよ!」
「えぇっ?!」
停電になってしまったようである。ううう厳しいのォー(T□T)。

弟は私から離れず、寒いだの冷たいだのと泣くので、
手を握ってこすり続けていた。
列の順番が進んで、駅の構内に入った。
中は薄闇である。
KIOSKは、ろうそくの灯りで営業を続けていた。
オバちゃんの顔が下から照らされていて、すごくコワイ(泣)。

時間は4時を過ぎていた。
電車が復旧する気配は無い。
国道の大渋滞により、超満員のバスも立ち往生しているという情報が入る。
駅の中は、ため息や、怒号や、子どもの泣き声で満たされていた。

順番が来て、やっと家に電話をかけることができた。
ワンコールで母が出た。
「どこにいるのっ!?」
父と一緒に、電話の前で待ち構えていたようである。
子どもたちが心配で、その日 夜勤を控えた父は本当は寝なければいけないのに、
いつでも迎えにいけるよう待機していたという。
こんなに親をありがたいと思ったことはない。安堵のため息が出た。   (後編につづく)

 

 

 

 

  

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クリザブロ

こちらこそよろしくお願いします
それでは質問ですが、どこにすんでますか?
私は神奈川県です
カキコまってます
by クリザブロ (2006-01-08 12:41) 

midori

クリザブロ様 コメントありがとうございます。私は東京都在住です。
申し訳ありません、ちょっとどなたかわからないのですが、
ブログ関係の方ですか? お手数ですが、URL書いて頂けませんでしょうか。
当方、最近ボケ気味のため、もし何か忘れていました場合はご容赦ください。
by midori (2006-01-08 13:51) 

香織

 涙が出ちゃいました。
by 香織 (2006-01-08 20:22) 

midori

香織 様 早速おいでいただき、ありがとうございます。
あのとき泣きたくても泣けなかったmidori の代わりに(?)
泣いてくださってありがとう。
by midori (2006-01-08 20:53) 

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