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あぁ お婆ちゃん・・・ [家族]

midori の一家にも、暗黒の歴史があったですよ。
ジャパニーズ西太后であらせられる(私が任命しました)、
「ウチの婆ちゃん」が君臨していた時代。
自分の事しか考えていない、ほんっっっとに、いけずな ばーさまでした。
時系列に ご紹介。




☆あぁ お婆ちゃん  その1

嫁は田畑へ出かけ、婆ちゃんは孫のお守り。
あー昼寝したい。夜眠れないから寝不足なのだ。
布団を敷いて、孫を横に寝かせる。
孫は眠くない。じっとしていない。
婆ちゃんは眠い。孫を寝せて自分も寝たい。
どうするか。
孫のやわらかい二の腕や太ももやわき腹を
ギリリとつねり上げる。
火が点いたように泣き出す孫。
泣くだけ泣かす。
孫は泣き疲れて眠る。
自分も眠る。
この繰り返し。
(この情報は、近所のオバサンから母が仕入れたものです。虐待よ、虐待だわっ!)



☆あぁ お婆ちゃん  その2

婆ちゃんは痔が悪い。
どういうことか今でもわからないが、
1ヶ月に1ぺんほど、血を見た。

すると、孫がお使いを頼まれる。
「また取って来てくんねぇか」
婆ちゃんが効くと信じて疑わない特効薬を、
我々姉弟は競って採る、捕る、獲る。

「取って来たよー」
「よしよし」
婆ちゃんはそれを2、3日寝かせてから、お茶と一緒に飲み下す。
婆ちゃんには なんとなく、効くようであった。

その特効薬とは、・・・・・・蟻地獄
(良い子は真似をしないよーにね♪)



☆あぁ お婆ちゃん  その3

金曜の夜。
毎週のように嫁姑の諍いがあった。

父は逃げの一手で、頼りにならない。
子どもらは、「また始まった」と呆れ顔である。
諍いの原因。それは・・・

チャンネル争いであった。

『太陽にほえろ!』 を観たい母が、
「お婆ちゃん、先週も譲ったんだから、たまにはいいでしょーよ」
と、おずおず きり出すと、
「オラ明日にも死ぬかもしらねぇ。おまえ嫁のくせに年寄りいびるのか」
と忌々しく言い放ち、唖然とする母を無視して
孫にチャンネルを変えさせるのである。
(当時、リモコンが無かった)
「早く、10に変えろ、ばか」

チャッチャラーラ チャッチャラーラ チャラララッチャラー

ご存じ、『ワールドプロレスリング』 であった。

当時、猪木命の婆ちゃん。
今書くと微笑ましいけど、母はよく台所で泣いてたっけなー。(←それもどうかと)



☆あぁ お婆ちゃん  その4

婆ちゃんは、母が大嫌いだった。

だから、脳溢血で倒れて左半身不随になっても、
嫁に世話されたくない一心でつらいリハビリに耐え、
ある程度、なんでも一人でこなすようになっていた。
包丁も持ったし、雑巾も絞れた。
着替えも口を使ってなんとか着た。
(頭は大丈夫だった。新聞も読めたし、地獄耳)

一つどうしても出来ないことがあった。
爪切りである。
そんなときは、長女の私が呼ばれる。

でも子どもだから、ちゃんと切れないのですよ。
「やだよ。肉切っちゃうから」
と逃げるのだが、婆ちゃんは ひるまない。
「切ったってかまやしねぇ。ほら。早く」
「お母さんにやってもらえばいいでしょ」
「早く」
「だって・・・」
「ほら!」
「・・・・・・」

仕方なく、爪切りを持つ。
気をつけてるつもりなのだが、やっぱり切ってしまう。
辛抱強い婆ちゃんは声一つ立てないので、
真っ赤な血が流れ落ちるまでわからない。

「・・・ああん、だからヤダって言ったのにぃー!」
「痛くないから。早くこっちも切れ」
「ううううう(半泣)」

幼い私には地獄の苦しみであった。



☆あぁ お婆ちゃん  その5

私が反抗期を迎え、まる半年口をきかなかった後、
喋るようになってからは、思ったことをすぐに口に出すようになった。

結果、婆ちゃんと言い争いをすることが多くなった。
子どもは母の味方をするものだし、特にウチの婆ちゃんのいけずさは
尋常とは思えなかったから当然の結果であろう。

ある日曜日。

午前中に罵り合いのケンカをして、昼になった。
一時休戦。
と思い、私は気を取り直して、
茶碗に ごはんをよそい、婆ちゃんの前に置いた。
別に、叩きつけるように置いたわけでなく、ごく普通にコトリ、とだ。

少しして、婆ちゃんを見たら、ワナワナ震えている。
そしていきなり
「こんなもん食えるかっ!!」
と叫ぶと、使える右手で茶碗を持ち、
私めがけて投げつけてきたのである。

77歳の年齢の割りにコントロールが良くて(!)避けきれず、
額の髪の生え際に茶碗がヒットした。

「いっでえええっ!! 何すんだババア!!!」

幸い、掠っただけだったので出血はそれほどでもなかったが、
なんとなくうっすらと小さな傷がついて、今もそこには髪が生えない。

さすが暴れ馬の生みの親(笑)だよ、全く。。。



☆あぁ お婆ちゃん  その6

なんだかんだいって丈夫な婆ちゃんが、風邪で寝込んだ。

2日目に
「オレはテレビも観られねぇ。みんなは茶の間でアハハオホホ笑ってるのに」
とわがままを言い、母がテレビを買ってきた。

3日目には
「便所行くのがおっくうだ」 とこぼし、母が世話をしてやると言っても、
「おめぇの世話にはなんねぇ。でも便所は遠い」 と言って泣くので、
困った母はポータブルトイレを買ってきた。

なんでそんなわがままを許すのか、ますます増長するではないか、
と私は母に食ってかかったが、
「・・・いいじゃん、買ってやったって、このくらい」
母が薄く笑うので、それ以上は言わなかった。

4日目の夜。
我々姉弟が、居間でギャアギャア騒ぎながら年賀状を書いていた。
聞きとがめた母が
「お婆ちゃん、子どもらうるさいね。今怒ってくるから」
と立ちかけると、婆ちゃんは穏やかな顔をして、
「いいよ。子どもは元気なのが一番だぁ」
と止めたという。珍しいこともあるものだナと思ったが、
婆ちゃんは何日ぶりかで茶碗一杯のおかゆを平らげたところだったので
満足したのだろうと安心した母は
「お婆ちゃん、ちょっと洗い物してくるよ」
と台所に立った。

20分ほどして、手を拭きながら母が婆ちゃんの部屋に戻ると、
婆ちゃんは眠っていた。
「お婆ちゃん、寝たの?」
母が近づくと、もう息がなかった。
安らかな顔だった。享年78歳。








 
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コメント 14

a-k-i

す・・・ すごい婆ちゃん。 
話聞いてるだけならまだいいけど、実際に暮らすのはムリかも。
って、いうかムリ。
ファンキーな家に育ったんだねぇ~ そんな絵に描いたような婆ちゃんっているんだぁ~ 
婆ちゃんの最期。 なんかドキュメンタリーの映画のシナリオ読んだみたいにズキュンってきたよ。
by a-k-i (2006-05-29 12:33) 

いいですね。
あいかわらず、日だまりのようなお話で。

最近ここでは、真面目なコメントを目指しています!

がんばれ!おれ!
by (2006-05-29 20:08) 

maltsmama

おおお。私には、ばあちゃんもじいちゃんもほとんど記憶がないので、こういう話はとってもうらやましい。
ばあちゃんもお母さんも生き生きとしているねえ。
私は母が大嫌いなので話題にもしたくないのです。

いつか自分が同じ目に遭うと思っていたけど、独身なので、同じ目には遭わなくて済みそうです。ふふふ。
by maltsmama (2006-05-29 20:24) 

GO

さすがオトンのオカン!ナイスです。
ファンキー一家の礎を築いたお方ですね。
by GO (2006-05-29 22:33) 

のんたん

はじめまして。
楽しくて(という言葉で終わらせていいのか?!)あったかい家族の様子
が垣間見られるので、時々のぞきに来ていました。
パソコンに向かって一人ガハハと笑ったり、ホロリとさせられたり・・・
今日は『さすが、ばあちゃんやるなぁ!』と笑っていたら、最後で一本取られました。また遊びに来ます。
by のんたん (2006-05-30 02:54) 

midori

a-k-i 様 nice!ありがとうございます。
うーん。そうですね。家の中に野村サッチーがいつもいる、
ってな状況ですからね、チビしいですよね。
だから私、「渡る世間~」観られません。イヤなこと思い出すから(笑)。
最期は、みごとにポックリいきましたね。うらやましいくらい。
自分でも死んだこと知らないんじゃないかな。

pingpong様 nice!ありがとうございます。

shino様 nice!ありがとうございます。
えへへどーも。日だまりなのか日照りなのか微妙なトコですが。
えー真面目なコメントぉ。目指すのぉ。つまんないなー(ウジウジ)。

maltsmama様 nice!ありがとうございます。
うらやましい・・・ですか・・・? ほんとに? 心からそう思ってます?
いやーん甘いですよー。人間いつ結婚するかなんて
わかったもンじゃないんだからぁー! どうします?
死ぬほど愛した男性のお母様が、こんなシトだったら。。。ふふふ。。。

GO様 nice!ありがとうございます。
ファンキー・・・ですよねぇ(泣)。ほんとヤんなっちゃうくらい。
私にも同じ血が。。。あああ考えない考えない。

のんたん様 はるばる台湾から いらっしゃいましー。
いえいえ、ただただ楽しんでいただければ本望でございますよ。
今後もぜひご贔屓に。
by midori (2006-05-30 14:20) 

hil

髪が生えないって、いわゆる、あれですね。罪作りなお婆ちゃんですね。
僕にはお婆ちゃんが3人いましたよ。
母親が「もらいっ子」というやつだったので、母方に「実」と「育て」のお婆ちゃんがいたんです。子供の頃は単純に「僕にはお婆ちゃんが3人もいるんだぜ、すげーだろ。」と思ってましたね。馬鹿ですね。
母方の「実の方」のバア(って僕は言ってました)が、
midoriさんのとこみたいに、モーレツ系でした。
ぴしゃんぴしゃん、よく、はたかれました。小遣いもいっぱいくれたけど。
強いお婆ちゃん、いたよね? けっこう。まあ、戦争くぐりぬけてきてるしねえ。
by hil (2006-05-31 03:21) 

みっちょん

midoriさん一家の元祖だねぇ~(笑)
なんやかんやで婆ちゃんは幸せモノだねぇ~
うちの実家の年よりも・・・パワフルだから
気持ちはすご~い分かるよぉ~!!
今じゃ笑えるけど・・・その時は・・・(笑)
イイ思い出だねぇ~
by みっちょん (2006-05-31 20:11) 

Sho

こんばんは。
無言 nice ! というのも良くないかな・・・と思い、舞い戻ってきました。
ごめんなさい。言葉にするのが、とてもしんどくて・・

nice ! を押すことしか、出来ませんでした。
by Sho (2006-06-01 00:14) 

midori

Sho様 nice!ありがとうございます。
あらあら。いいのにそんなの気にしなくて。
そーですよ、しんどいですよ、これは。
みなさん、お気軽に「ファンキーだ」なんて言ってますけどね。
ま、他人事だから仕方ない(笑)。

hil 様 nice!ありがとうございます。
はい。業界で言う「げーはー」ですね(笑)。ちょこっとだけ。
おばあちゃまが3人ですか。いや、すげーですよ、それは。
そうなの。何が強いって、戦争をくぐり抜けて子ども育ててきてるから、
んもー腹すわりまくり。で、好きなことしかしない。
地獄耳のくせに、都合の悪いときだけ耳が遠くなる(泣)。
私、ウン十年生きてきて、あんないけずな人、他に知りません。

みっちょん様 nice!ありがとうございます。
う~ん・・・いい思い出・・・。
婆ちゃん死んでから20年も経ちますからね。
なんとかこうして笑い話みたいにできますが。
妹なんかは、こういう話をすると、
「あーん? 忘れたそんな昔の話」と、いたってクールです。 
by midori (2006-06-04 18:42) 

goinkyonosora

うちの婆ちゃんも、かなりキツイ人だった。
こういう存在感のある人が亡くなると、ちょっと懐かしくもあり寂しくもあり・・・
しかし、いい死に方ですね^^
by goinkyonosora (2006-06-04 22:21) 

midori

おぺ様 nice!ありがとうございます。
おおお、ここにも同志がっ。そうですね、存在感バリバリでした。
死に方は選べませんからねぇ、ホントにいい死に方でしたよ。
本人、死んだことも知らなかったりして。
by midori (2006-06-05 06:00) 

midori

ねこぜいぬ様 nice!ありがとうございます。
by midori (2006-06-07 18:53) 

midori

小坊主つばめ様 nice!ありがとうございます。
by midori (2006-06-28 17:05) 

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