ザ・ベストテンと私

midori は長女で、妹や弟と比べると、親のしつけが厳しかった。
小学校は家から遠く（約２kmあった）、朝は６時に起きなくてはならないため、
３年生までは、夜８時に寝させられた。
（土曜日だけは例外で、ドリフやGメンまで観るのを許された）

たしか1978年だったと思う。
画期的音楽番組「ザ・ベストテン」の放送が開始された。
小学女子のアイドル、ピンク・レディーが全盛の頃で、
他にも百恵ちゃん、ヒデキ、ジュリー等、
一番観たいスターたちが毎週出演するのだ。
考えるだに、目にお星様が入るではないか。
これを観ずして何を観るか、というような番組であった。

しかしmidori はまだ２年生。
「ベストテン」は夜９時に始まり、終わるのが10時である。
これを観たら、いつもより２時間も遅く寝ることになる。しかも木曜日。
そんなの親は許さない。
何度か交渉を試みたが、頑固な親は首を縦に振らず、
midori はクラスの話題に乗り遅れたまま小学時代を過ごすのであった。

４年生になったとき、就寝時間を伸ばすことを許された。
それまでの８時が９時になり、木曜と土曜だけ10時までOKとなった。
やったぁ！！

「ベストテン」が観られるばかりか、
とっても観たかった「３年Ｂ組 金八先生」の後番組「１年Ｂ組 新八先生」も観られるっ！
（「金八」もクラスで話題だった。番組が始まる時間にすごすごと寝室へ行かねばならない
私とは対照的に、まだ幼稚園へ通っていない４歳の弟は、母と一緒に観ていたのだ。
ねー、どんだけ長女ばっかり厳しくされてたかわかるエピソードでしょ。え？　２歳下の妹？
彼女は誰が何を言わなくとも、ご飯食べたらそのまま眠り込んでしまうようなやつだったので
なんら問題なし。フロにも入らんで寝てしまうのは問題か）
「新八」は、ご存じのとおり つまんなかったのであるが・・・。

さー、いよいよ「ベストテン」である。
風呂に入り、風邪を引かないように靴下を履き、パジャマの上に綿入れ半纏を着て、
準備万端でコタツに座る。ドキドキしてきた。
婆ちゃんが話しかけてくる。
「midori は誰が観てぇんだ」
「うーん。別に・・・」
父が割り込んでくる。
「なんだ？　ゴダイゴとかツイストあたりか？」
「・・・（当）・・・」　顔真っ赤。
「midori 、ゴダイゴ好きなの？」
母がみかんを持って茶の間に入ってくる。
「（恥ずかしいなァ）・・・普通・・・」
（小学生の受け答えは、だいたいこんなもんだよね）

そして９時。
キラキラと銀色に光が瞬いた後、黒柳徹子と久米宏の絶叫、
「ザ・ベストテンっ！」
ドレスアップの徹子さんと、タキシード姿の久米さん。
ゴージャスな紅いソファと、その上のミラーボール。
久米さんの「TBS系列の全国○○局を通じまして生放送でお送りしております・・・」
という滑らかな進行。そして緊張をあおるような音楽。
midori、興奮のるつぼ。
そして・・・

ハッと気がついたときは、親に叩き起こされていた。
「布団で寝ろっ！」
？？？
「ベストテンは？」
「もう終わったよ。おまえ寝ちゃうんだもの」
それまで８時に寝ていたmidori の意識は、
９時10分くらいまでしか持たなかったようである。

「いっ１位、誰だったの？」
「・・・（知らんがな）・・・」
「ねぇ、１位・・・」
「さっさと寝ろっ！！」
口を大きく「へ」の字に曲げてmidori は寝室へ行き、
枕を濡らしながら寝た。

次の週、そのまた次の週と、しばらくは
midori は「第７位」くらいになると、眠気に勝てず白目をむいてしまい、
翌朝、台所で忙しい母に「昨夜の１位」を聞いて回りうるさがられた。
「ジュリーだった？」
「あぁ、ジュリーだった」
「百恵ちゃんだった？」
「あぁあぁ百恵ちゃんだった」
「もんた＆ブラザーズ？」
「あぁそう、もんた・・・」
「うそ！　お母さん適当言って！」
「うるさいっ！　早く学校行け！！」

毎週、コンスタントに１位まで見届けられるようになったのは、
半年ほど経ってからだと思う。
それからは、学校帰りの２kmの道のりは、近所の下級生相手に
たて笛で「ベストテン１～10位＋スポットライト」を披露しながら
（笛が無いときや興が乗ったときは、美声と華麗なダンスで再現）、
あぜ道を帰ったものである。

楽しかったな。今でも1980年前後のヒット曲が一番好き。

 
思わず 「ダンシング・オールナイト」 が口をついて出てしまった方はポチッと お願いします。

コメント 10

お。なんだか年代がいっしょでちょっと食いつき（笑）。
私が9時過ぎのテレビを見せてもらえた番組は、土曜日の「熱中時代」です。これなら親もOKさ～。←そりゃ、なんかのガムだよ。
by ウチータ (2006-06-25 21:33) 

ウチータ様　ｎｉｃｅ！ありがとうございます。
えーウチータさんも同年代なのぉ～？　こりゃあ驚き。
もっと上かと思ってた。大人だもの、ウチータさん。
北野広大先生は、再放送で観ましたね。
土曜日は、ウチはGメン75だったから。立花警部にゾッコン（笑）でした。
by midori (2006-06-25 22:22) 

midoriさん。こんばんは。
コメントさせて頂くのはお久しぶりですね。

。。。わたしは「ザ・ベストテン」を知りません。
「伝説の」ザ・ベストテンと言われることもあるようなので
かなり有名な番組だったみたいですね。

でも、せっかくご両親からOKが出たのに、
眠気に勝てず寝てしまうmidoriさんの姿（当時）を想像し
思わず笑みがこぼれました。

またお邪魔させて頂きます。(^。^)♪
by 清水 順子 (2006-06-25 23:27) 

清水順子 様　こんばんわ。コメントありがとうございます。
そちらにお邪魔してゆっくり記事を読ませていただきたいのですが、
なかなか時間が取れなくて。。。
家のパソコン環境が著しく悪くなり、現在整備中ですので、もう少しして
仕事も落ち着いたら、んもうしつこいほどコメント残させていただきますよ（笑）。

あの番組は、80年代を象徴するような番組でした。
今観ると、かなり恥ずかしい。なーんか、フリフリだし、テクノだし、
シャドーだし、ゴールドだし、歌謡曲の最後の時代ですねぇ。

こんなブログですが、気が向きましたら
またおいでくださいまし～(￣▽￣～)
by midori (2006-06-25 23:38) 

「ベストテン」懐かしい～（笑）
１９７８年からスタートだったんだぁ～
その頃は・・・まだお子様だったから見てないけど
小学校の時は見てないと
話に入れなかった気がするぅ～（笑）
必死でみんな見てたもん♪
by みっちょん (2006-06-26 23:58) 

midoriちゃん、かわいい～。
寝ちゃうんだ。おねむなんだ～。

ああ、なんかいろいろ近いぞ。さすが同級生。
僕も2キロくらい歩いて小学校に通っていましたよ。ちょうど自転車通学が許される範囲のぎりぎりのところで、クラスでいちばん僕が長い距離を歩いて通ってたんじゃないかな。おかげで足が丈夫で、速くなりましたけどね。
歌って歩いてたねえ、やっぱり。『ダンシング・オールナイト』『チャコの海岸物語』『もしもピアノが弾けたなら』・・・。
でも僕がこの番組でいちばん思い出すのは、
大川栄作の鼻だったりして。
by hil (2006-06-27 00:25) 

トップテンよりベストテンの方が大人な感じで好きやった・・・
夜ヒットを見れるようになったのは中学生くらいだったかなぁ？
結構早く寝なさいって言われてました。
(*¨)(*・・)(¨*)(・・*)ウンウン　
毎度お騒がせしますをどうしても見たかったのに許されなかったなぁ　(;´▽｀A``
by a-k-i (2006-06-27 20:29) 

みっちょん様　ｎｉｃｅ！ありがとうございます。
みんな必死でしたよぉ。
で、テレビの前にラジカセ置いて、家族に静かにするよう言って、
録音ボタン押すんですよね。
（後で聴くと、だいたい誰かの笑い声が入っている。。。）
久米さんが、イントロ中にハガキを読んで、歌に入る直前で読み終える。
いつもドキドキしながら聴いてました。

hil 様　ｎｉｃｅ！ありがとうございます。私はいつもカワイイのだ（爆）。
えっhil さんも歌って踊ってたの？　
そんなことするのは女子だけだったけどなー。
男子は、たいがい百科事典の「どうぶつ」って本を見ながら歩いてたよー。
大川栄作！　タンス運んでた！！

a-k-i 様　ｎｉｃｅ！ありがとうございます。
トップテンはイマイチ垢抜けなかったですね。
（なんせ前身が「紅白歌のベストテン」ですから）
夜ヒットねぇ。あれは10時からだから、私も中学デビューでした。
あの頃、司会が吉村真理と井上順だったなぁ・・・。
（古館と加賀まりこがやってた頃は、すげー景気良かったっけ。。。）
by midori (2006-06-28 13:20) 

ははは＾＾；
起きてても怒られる年ではなかったなーー；
by goinkyonosora (2006-06-29 11:04) 

おぺ様　ｎｉｃｅ！ありがとうございます。
いやあん、「私も怒られた」って言わなきゃ！（笑）
でも結局ですね、小学校のうちは10時就寝、
中学生になると自由になったのですが（試験勉強もあるしね＾＾）、
中学２年から一気に朝５時まで起きているようになってしまいました。。。
by midori (2006-06-29 13:45)