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*最初で最後の「おねしょ」 [小学時代]

私は、おむつ取れるのがとても早くて、
取れてからも下のお世話をされたことが無い。

幼稚園に入学して一番ビックリしたのは、
朝礼中に突然、列の前のほうの子が「ギャーっ」と泣き出して、
何事かと思ったら、ジャージャーおしっこ漏らしていたことである。
先生が何人か走り寄ってきて、泣いているその子を抱きかかえて連れて行った。
「赤ん坊かよ」と思い、歳が同じということに失望した。
日が経つにつれ、そういうのが割りと日常的なことに気がつくと、
たちまち幼稚園に行きたくなくなった。

そういう意味で、下のほうの管理(?)には自信があった。
妹はよくお漏らししていたし、弟のおむつが取れるのはずっと遅かったので、
私への家族の信頼も厚かったのだ(あくまで下のほう限定)。

ところが・・・。
あの夜のことは、いまだに自分でも信じられない。

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小学2年生の冬の夜、祖母の部屋で寝起きしていた私は
何か夢を見ていて、どうも腹に力を入れる瞬間があった。
なんだかまずいような、でも気持ちがいいような、
ヘンな感じで、うっすら目を開けた。

「!!!」
布団をはがしたら、湯気が上がった。
まずい。まずいまずいまずい。どうしよう・・・。

このまま朝まで眠ってしまおうかとも考えたが、
腰周りがぐずぐずして気持ちが悪い。
やっぱり履き代えなくちゃー。

真冬の真夜中、布団の外は震えるほどの寒さである。
たんすの下から二番目の抽斗を、ゆっくり、ゆっくりと引き出す。
あの頃のたんすというのは、取っ手が小さな振動でも揺れて「カチャカチャ」いうのである。
眠りの浅い年寄り、しかも地獄耳の祖母のそばで抽斗を開けるという行為は、
かなりの緊張を伴うものだった。

時間をかけて開ける。
パンツ。あった。
パジャマのズボン。あった。
ももひき。・・・ももひき。ない。あれぇ。
(今の若い子には信じられないでしょうが、当時、エアコンもファンヒーターも家には無く、
東京よりも緯度の高い土地に住んでいた人間には、ももひきは必須アイテムだったのです)

ええい、いいや、あと寝るだけだし。
ももひきはあきらめて、慎重に抽斗を閉める。
濡れた服はどうしようかと思ったが、なんとなく風呂場へ持って行って置いてきた。
もう寝よう。おばけ出そうだし。(←こういうとこが、8歳の子どもです)

うすら寒い下半身のまま布団に戻り、しばし思案。
ド真ん中に池の跡である。どうしよう・・・。
右か左か、どちらかの端っこに寝るしかない。
右側は祖母のそばで温かそうだが、
カンの鋭い祖母のこと、不審に思われそうだったので、
左側の端っこに身を横たえた。(←これも不審だ)
寝返りも打てないし、布団の端っこは寒い。
居心地の悪さに泣きそうになりながらも、いつのまにか眠ってしまった。

翌朝。
目が醒めて落ち込む私。
いつ、どのタイミングで白状すればいいのだろう。怒られるなー(泣)。
頭痛いとか言って、このまま寝てようかな・・・。

とりあえず起きて、トイレから出たとき、父に声をかけられた。
「おまえ、なんだ、その格好」
ドキイッ! バレたっ?!
「だって・・・ごめんなさい・・・」

父は、私の上下のパジャマが違うのを見咎めただけらしいが、
思わぬカミングアウトにゲラゲラ笑い出した。
母も祖母も、話を聞いて爆笑した。
あれ・・・? 怒んないの?

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「おまえはおむつ取れるのも早いし、お漏らしもしないから、
なぁんだろーこの子はって思ってたけど・・・」
どうも大人には その「子どもらしくな」さが心許ないというか、
肩すかしというか、つまらないというか、そんな感じだったようなのである。
「やっぱり子どもなんだねー」 安心したように笑っていた。

大人って、子どもに「キチンとしている」ことを要求する反面、
子どもらしくないと、それはそれで不安なんだ。
その時は、なんだか割り切れないような感情が残っていたのを憶えている。

 

 

 

 

  

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goinkyonosora

いったいmidoriさんは、いくつなんだろう…と、笑いながら考えてしまいました(^^;
by goinkyonosora (2005-12-28 11:00) 

midori

おぺ様 nice!ありがとうございますー。
えへへへへ。内緒。
でもねー、当時は1970年代です、一応。
by midori (2005-12-28 12:58) 

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