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*好きだったのよ・・・ [高校時代]

midori が男っぽかった話は前回書きました。
で、気にならなかったですか? 先生から告白された話。
もう十年以上前の話だし、時効ですよね?
(ウンウンとうなずく皆さんの顔を想像して・・・)
よーし、書いちゃうぞ。

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高校では三年間、芸術の授業は音楽を選択した。
美術や書道は、作品提出がめんどうだなと思って。
音楽だったら、レコード聴いたり笛吹いたり歌ったり、
イメージ的に楽しそうでしょ。音楽っていうくらいだもの。
試験だって、1年、2年とリコーダーのテストだったから、たかをくくっていたのだ。

3年になって、先生が産休に入ってしまった。
代理教員として、若い先生がやってきた。
音大出たて、みたいに若くて、なんつーか、こう・・・
体の線がくっきり出るような服装をしていた。
(当時の言葉で「ボディコン」。あー歳がわかっちゃう)
舌ったらずな口調で甘えた声で「みんぬぁー」なんて話す。
なんだ、この女・・・と思っていた。

しばらくして試験の概要が発表された。
なんと歌のテストだという。教室はザワついた。
しかも曲は指定の2曲の中から選択。で、肝心の曲のほうだが・・・
こともあろうに、「愛の讃歌」か「ある愛の詩」のいずれかだという。

こーれは恥ずかしい。
この頃はカラオケBOXだってまだ一般的じゃなくて、
みんな人前で歌うのに慣れていない時代である。
それも、思春期の一番自意識過剰な年頃に、
「あなたの燃える手で私を抱きしめて~♪」なんて歌えるかっ!

ブーイングの嵐に、ひるんだ先生。いきなり譲歩。
「じゃあー、どちらか好きなほう選んでぇ、みんなで歌えばいいよねー?」
教室は安堵の溜め息に包まれた。特にニキビ面の男子は胸をなでおろしたであろう。
みんなで歌っても、恥ずかしい歌詞に変わりはないが、
まぁ単位のためだ、仕方ない。

2回目のテストは、懲りずにまた歌。
今度の課題曲は、ビートルズの「Hey Jude」または「Let It Be」。
でもって、今回は独唱しろという。
またブーイングが起きたが、先生はひるまなかった。
「みんなの前じゃなくてぇ、音楽準備室で先生と1対1よ。いいじゃなぁい」
midori は「Hey Jude」を歌った。その時の先生は別に普通だったのに・・・。

卒業式の日。
式を終えて最後のホームルームも終え、各自解散となった。
みんな名残り惜しいのか、そのまま教室にとどまって、おしゃべりしていた。
「midori さーん、お呼びだよぉ」
「んー?」

廊下に出ると、見知らぬ1年生の女の子が恥ずかしそうに立っている。
「あ、あの、midori 先輩ですか?」
「そうだけど?」(あんた誰?)
「あの、私、合唱部の1年なんですけど、あの、最後に先生に会っていってもらえませんか?」
「えぇ?」(何でだよぉ)
「お願いします、先生、とっても先輩に会いたがってるんです」
「???」

まったく意図がわからずに困惑したが、まぁ授業ではお世話になったし(通信簿でも5もらったしな)、
気が進まないけど挨拶ぐらいすべきだろうか。
音楽室までの長い廊下を、1年生に案内されながら歩いた。
「ここに先生いますから」と、音楽準備室に通された。
「先生! midori 先輩連れてきましたからね!」

その部屋で先生と二人きりになった。
何があるかとヒヤヒヤしたのに、先生の態度や口調は、
一卒業生を送る教科担任のそれと一緒で、まったく普通である。
「明日からもう東京行っちゃうんだって? がんばってね」
「はい、お世話になりました。失礼します」
バタン

終わりかよ!? なんだったんだ?
なんだか拍子抜けである。長い廊下を歩き、階段を1階まで降りかけたあたりで

・・・たったったったったったっ・・・

走る足音が聞こえてくる。

イヤーな予感がして、音の聞こえてくる方向をゆっくり振り仰いだ。
案の定、先生だ。3階の階段のへりにつかまって、身を乗り出している。

「み、midori さんっ」
「はい」
「私、あなたのこと・・・」
「?」
「好きだったのよぉ~! ョォ ョォ・・・」鉄筋校舎に大声が反響して・・・
(うえぇぇぇぇぇぇっ! ←midori 心の叫び)
「お世話になりましたー!」
それだけ言うと、ダダダダと走って職員室へ逃げ込んだ。
担任に報告したら固まっていた。

次の日の始発電車で、midori は故郷をさっさと旅立ったのであった。
消そうとしても消えない、頭の中にこだまする先生の声を振り払うように、
ウォークマンをボリューム上げて聴きながら。

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はぁー今日は書いてて精神的に疲れました。ご清聴ありがとうございました。

 

 

 

 

  

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コメント 9

japan-a-go-go

midoriさん、こんばんわ。
先生に告白された話しなんて、そうそう聞けるもんでもないんで
楽しく拝見させてもらいました。
わはは。でも複雑ですなぁ。読みながら「チュ」が出てきて
しまったらどうしようとヒヤヒヤしちゃいました(^^;A
また来ます~。
by japan-a-go-go (2005-11-11 23:51) 

みずたま

関連記事で偶然やってきたらいきなりスゴイ記事!!
すんごい経験されましたね〜(笑)
by みずたま (2005-11-12 08:47) 

midori

moon様 いらっさいましー。
そう、準備室で二人きりになったとき、ヒヤヒヤしましたー(汗)。
実は、卒業前の段階で、担任からヘンな情報があがってきてはいたんです。
三学期に旅行して、お土産のまんじゅうを職員室にも配ったんですが、
その先生の机に、その包み紙が大事そうに飾ってあると。
担任と首をかしげていたんですが、まさかそんなふうに思われていたとは・・・

ちゅんくる様 nice!ありがとうございますー。
タイトルにみんなギョッとしたのか、アクセス数がすごいんですよ。
ヘンな経験に感謝、感謝です。
by midori (2005-11-12 17:24) 

思わずnice!押させて頂きました(笑)
いやぁ、合唱部の1年生の女の子は事情を全て知っていたのでしょうねぇ・・・先生から相談を受けたりしたのかな・・・と想像してしまいました。
先生から告白される事自体、滅多にない機会ですよね。しかも同性の先生からとは。midoriさんが告白されたときの衝撃は私には計り知れません。
by (2005-11-12 23:47) 

midori

ユウ様 はじめまして。nice!ありがとうございまーす。
いやあ、こんな殺伐とした世の中ですが、この話をするとみんな
ビックリしますねぇ。
私、初告白がその先生だったので、
なんつーか「青春返せ」みたいな感じもありますが(笑)。
by midori (2005-11-13 13:40) 

suzuatsu79

midoriさんってかっこいいんだろうなぁ。*:.。☆..。.(´∀`人)
考え方とか。生き方とかが。
by suzuatsu79 (2005-11-13 17:32) 

midori

スズアツ様 nice!ありがとうございますー。
あにゃっ! かっこいいなんて言われたの初めてです。
とんでもねーずら。どっかでも書きましたが、私の生き方は
「お笑いだけが人生さ」 ふっ   ですから。
スズアツさんは、ガッコの先生なのですね。
いま教育現場は大変だと思いますけれど、
燃え尽きないように頑張ってくださいませ。
by midori (2005-11-13 19:06) 

エルノア

関連記事から飛んできましたらなにやら面白い記事ハッケン
貴重な体験ですね。私には想像できません・・・

が、midoriさんのリアクションがGood!
グッドすぎますよぉ~!
しんみりかつ、笑い要素ありの記事に感涙
思わずnice!を押す私 (・ω・)
by エルノア (2006-01-08 07:28) 

midori

9様 はじめまして。nice!ありがとうございます。
楽しんでいただいて光栄です。
私は、ヘンなエピソードを呼び込んでしまう体質のようなので、
他にも、ありえないような「貴重な体験」をupしております。
またいらしてくださいね。
by midori (2006-01-08 09:44) 

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