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食べられません [家族]

前略
オラのような者に食べ物を恵んでくれようかという御仁,または
アタクシをデナーに誘ってくださる殿方は,くれぐれも
以下のFOODSにお気をつけくださりませ~. あらあらかしこ

【midori の食べられない FOODS】

●理由1:嫌い
 ・トマト (ケチャップは可)

●理由2:アレルギー
 ・マカダミアナッツ (他のナッツ類は可)

●理由3:トイレ直行
 ・卵と乳製品のハーモニー

●理由4:(これが問題)
 ・アワビ


 

 

(これが問題)・・・?

何かっつうとですなー,ま,平たく言えば

「村の掟」

ってやつですか.

(・・・はぁ? アワビがぁ?
 とパソコンの前で口あんぐり開けて固まっている皆の者の顔が見えるようじゃのぉ・・・爺や)

 

 

子どものときから不思議だった.

物心ついたときには,すでに「アワビ」は神様の一種で,
口に出してもいけなかった.

口に出すときというのは,だいたい,
食事時にテレビなんぞを観ていて(我が家はしつけが悪うござんす),
旅番組・グルメ番組でアワビが食材として出されてしまうときで,
わかっていても子どもだから,わざと「アワビって食べちゃダメなんだよねー」と
箸の先っちょなんかを齧りながら(だから,注意しなさいよ)つぶやくと,
父や祖母の顔色が変わり,「そんなこと言ってると,バチが当たるぞ.神様なんだから,
食べ物じゃないんだからな.そういうバカな話はもうするなよ!」とマジギレされるのである.

大きくなるに従い「アワビ」=「神様」と了解し,
食べる機会は勿論なく,それで何の支障もなかったのだが,
大人になり上京して,職場何ぞでその話をすると
まったく信じてもらえない. 

「またまたぁ~」
「ホントなんですって」
「その村にお嫁に来た人は?」
「食べちゃダメです」
「その村から出て行く人は?」
「かの地でも食べちゃダメです」
「えっ,じゃあ人が出たり入ったりしているうち,何千年も経ったら
 日本中の人が食べられなくなる可能性があるの?」
「そこ目指してます」
「うっそー信じられない.高級食材よ?」
「食べるなんて,そっちこそ信じられません」
「まぁたどうせ お婆ちゃんの作り話なんじゃないの?」
「いやあ,そういうことする人ではありますけど(あるのか),
 アワビに限ってはいつも真剣に怒られてきたんで,それはないと・・・」
「じゃあ,間違って食べちゃったらどうなるの?」
「間違うってこと,ありえないと思うんですよね~(ヘンな自信)」
「midori さんの家だけ守ってて,他の家は食べてたりして」
「・・・うーん,それは・・・あるかも(どっちなんだ).でもダメなものはダメなんです」
「今から鮨屋連れて行ってやるから食ってみろ,コリコリして旨いぞー」
「マジ勘弁してください.もうホントに」

こんな やりとりを何べん繰返したことだろう.

 

なんでも.

(ここから先は,「ま○が日本昔ば○し」のテーマソングをBGMにお楽しみください)

むかーし昔あるところに,それは小さな村があったそうじゃー.
その村は,海と山に面しておって風光明媚,
魚や作物がよく採れる良い村じゃったーそうなー.

その村より北へはるばる遠い大きな神社から,
その良い村に支社を作ろうと,
偉いお殿様や神主様を乗せた大きな船がやってきたそうなー.

ところがじゃー.
村のそばまで着いたとたん,船底に穴が開いてしもうたー.
船乗りどもが大急ぎで船底から水をかきだしてもかきだしても,
船はズブリズブリと沈んでゆくー.

「もう駄目かもしれんのー」

船乗りも,殿様も,神主様も,浜で見ている村人も,覚悟を決めた瞬間じゃったー.

「水が止まったぞー」

一人の船乗りが叫んだそうなー.
それから船乗りたちは水をかきだし,船は無事に浜に着いたそうじゃー.

浜に着いて船をひっくり返すとー,船底の大穴に,
それはそれは大ーきな「アワビ」がくっついていたそうなー.

「これがオラたちの船を助けてくれたんじゃ」
「ありがたいことじゃのー」

その大アワビをひっぺがして,早速,殿様に献上するとー
「このアワビはワシらの命の恩人じゃ.
 しからば神様であるからして,この支社の氏神様としてお祀りし,
 氏子は金輪際,食すということのないように,よきにはからえ」
と髭をなでながら満足の様子だったそうなー.

それから,この村では,あわびを神様として奉り,
決して食べることはなかったそうじゃー. めでたしめでたし

(脚本・演出:midori )

 

 

・・・ちょっと.そこ.まだパソコンの前で
「はぁ?」って言ってるでしょ.見えんのよ.
やんのかオラ.

・・・まぁまぁ落ち着いてくれたまえ,諸君(自分が一番落ち着け).

この逸話は,郷土史や神社研究の本なんかに載っているくらいだから,実話なのだ.  
ちょこっと失礼,無断転載.

『◇◇市の△△神社もアワビと関連があり,◎◎△△神社からご分霊の奉遷するための航海中,船底に穴が開いて危うく沈没しそうになったとき,アワビが穴をふさぎ難を逃れたとのことである。その恩を忘れぬ氏子は今でもアワビを禁食している』

ねー.だからさっきからそう言ってんじゃん.
納得した?

 

でね.

ここからはちょっとエピソード.

 

実家から徒歩数分のところ(件の神社の石段の下を通って行くんだけど)に
結婚式場があるんですわ.

何年か前に,弟の結納式&両家食事会を そこでやったのね.で.

皆様ご想像どおり,出たんですわ.アワビ様.

でも誰ぁれも気がつかなくって,お酒注しつ注されつ
和やかに食事していたら,突然,母が

「あれっ!」

と叫んだ.
「どしたの」 隣の私が聞くと,
「入ってるっ」
「なんだ,やかましいな」 父が,嫁の父にビールを注ぎながら苛立つ.
「だって,入ってるんだものっ」
「何ですか? 髪の毛?」 差し向かいに座っている,嫁の母が眉間に皺を寄せる.
「アワビが」

「ええええええええええー!!!  どこにいいいーーー???」(もちろん midori 家一同の叫び)

我々は知らないのである.食卓に上るアワビの姿を.
しかし母は知っていた.
この村の出身ではないのだから,嫁に来る前に食した経験があっても当たり前である.

で,なぜか一番猛り狂ったのも,この母である.
すぐさま人を呼び,支配人を呼び出させ,声を荒げた.
「あんたね,この辺の人たちがここを使うときはね,ゼッタイにっっ
 アワビなんか出さないのよ,フツー.いったいどうなっちゃってるの!
 結納なんて縁起事に,なんてことしてくれたのよっ!」
支配人,ただただ平身低頭.
嫁の家族,口あんぐり.
我々はといえば,

「これがアワビ・・・」

初めて拝むアワビ様に,父も私も妹も弟も,感動に近い心境になっていた.
食べるものではないのだからと気を遣い,箸を使わず手づかみで(オイ)持ち上げ,
「へー.これがねー」
とピラピラ振って眺めたりしていた.

「ったくもう」

矛を収めた母がやっと椅子に座り,箸を取ったところで

「あのう・・・」

嫁と,嫁の母が暗い顔でうつむいている.

「何か? あっ
 どうもすみませんでしたね,お見苦しいところを・・・.
 いえね,この辺りの人間は食べちゃ駄目なんですよ,アワビ.
 なんでも神様だとかいって祀っててね.
 だから,アワビを料理に出すなんて信じられないんですよ.
 ☆☆子ちゃん(嫁)も・・・」

「食べちゃいました!!!」

平謝りの嫁とその母.あわててそれに倣う嫁の父.

「すみません,知らなくて,あの・・・,その・・・,は,吐いたほうが・・・?」

midori 家,大爆笑.

「・・・い,いいんですか?」

「いいも何も,まだ嫁さんになってないじゃん.
 嫁さんになってからでいいよ.でも来たらもう駄目だよ」

弟の優しい声に,ホッと胸をなでおろす嫁の一家.
また場は和やかな雰囲気に戻る.

「☆☆子ちゃんは,いままで結構食べてたの?」 母の質問に, 
「はい.実は大好きでぇ」 と相好を崩す嫁.母もおどけながら
「じゃあ,これから我慢しなきゃなんないから大変だ」 
そこで話題を変えようとした母に,
「今日も,真っ先に見つけて食べちゃってぇ」 嫁の言葉をその母が引き取り  
「私の分まで取って.ねぇ.お父さんのも」
「えっオレのも? なんだお父さんも好きなのに~」 酒が回り,ろれつの回らない嫁の父.

あまりに無邪気な親子の様子に,
おもわず母の口の端がひくつく瞬間を私は見た.

食事会が終わり,神社の石段の下を通り自宅に帰った我々.
母は玄関に入るなり,弟の襟首をつかんだ.

「言ってなかったのかよ! このバチ当たりが!!」
「てっきり言ってあると思ってたんだよ,ごめんって」
「まー,あの態度,先が思いやられるね.
 だいたい#$ж£П@%〆Å#$ж£П@%〆Å#$・・・(母の名誉のためこれ以上は伏字~)」
「そこまで言うことねーだろ!
 こっちこそ先が思いやられるよ,鬼姑!!(←せっかく伏字にしたけど,これでレベルがわかるな)」

・・・かくして「アワビ様」は禍根を残すのであった.
神様なんでしょ,なんとかして.

 

 

 

 

 

あーあ.あん時わかんなかったふりして
(っていうか本当にわかんないんだけど,白っぽい貝類はヤバめだから口にしないようにしてる),
さっさと食べちゃえば良かった.コリコリして美味しいんでしょ?

・・・なんて思ってませんっすみませんっお母さんっイテッ!


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コメント 10

小坊主つばめ

オキテデアレバ、シカタアリマセ〜ン


by 小坊主つばめ (2009-02-14 23:27) 

Sho

なるほど。
アワビが沈没を防いだ― というのは、実際ありそうですね。
なんとなくそういうものは、アワビの様な「高級食材」の方がしっくりきますね。
ところでmidoriさんは、意外に召し上がれないものが多いのですね。
ケーキとかも駄目なのかしらん・・
by Sho (2009-02-15 07:13) 

hil

でた。ワンダー・ワールド。
アワビのステーキなんかもう最高なのに。
(2回しか食べたことないけど)

マカダミアナッツ一点集中のアレルギーなんてあるの?
ハワイになんかトラウマでもあるんじゃない?

そうか、midoriさんと食事をするのは大変なんだな。
トマトが駄目だと、イタリアンは駄目でしょ。
卵と牛乳だと北海道のスイーツもだいたい駄目。
中華のアワビものも駄目。

うーんと、居酒屋でいい?
めざしと牛モツを奢るよ。

by hil (2009-02-15 15:19) 

noel

アワビ「村の掟」とは、仕方有りませんね。
特定のナッツのアレルギーは有るみたいですよね。ピーナツとかもね。
トマトはだめだったとは。
いや残念です。田舎育ちの私にはおやつでしたから。
midoriさんの繊細な感じが分かる気がします。
エエ、たぶん。きっと…。
by noel (2009-02-16 10:08) 

midori

小坊主つばめ様 nice!ありがとうございます.
ま,オキテでございますからね.しゃーない.
インフルエンザ少し良くなりましたか? お大事に.

Sho様 nice!ありがとうございます.
実際調べてみるに,アワビ様を食べない地域が結構あるらしいですよ.
食べられないもの,こう見ると私多いですね.
でもま,料理に入っていたら,よけて食べるだけですから
店選びにそんなに支障はありません.
うーん,まず甘いものをほとんど食べないので,ケーキは避けてます.

hil 様 nice!ありがとうこざいます.
えー,デナーにご招待してくれるのー?
いいねー,めざしと牛モツ.
あと「ぬた」とか「ふろふき大根」とか「干物」とかヨロシク.
(完全にオヤジの嗜好)

ours様 nice!ありがとうございます.
ようこそ.

noel 様 nice!ありがとうございます.
マカダミアは,3回目くらいでやっと判明しました.犯人はコイツだったのか!
食べるとまず,唇がムズムズしてきて,舌や口の中がヒリヒリしてきて,
喉がイガイガして,胃がシクシクする.
マカダミアが腸に移動したかな?と思われる,食してから1~2時間後くらいに緩和.
トマトはですね.ウチの妹弟も嫌いです.あの甘いんだか酸っぱいんだかしょっぱいんだか青臭いんだかイマイチ判別つかない味が苦手.
で,クラッシュしてサラダにちょっと入っているだけでも,レタスにくっ付いていた部分だけでも「トマトでっせ~」という味がわかるアノ自己主張の強さ.
えぇご存じのとおり繊細なもんですから...(笑)
by midori (2009-02-17 12:44) 

blues

魚介類は何でも好きなので、文化の違いに驚きつつ・・・。
とりあえず復活おめでとうございます。

ゆっくりいきましょう(お互い)。
by blues (2009-02-19 23:16) 

midori

blues様 nice!ありがとうございます.
魚介類は私も大好きですー.アワビかー食べたーい(コラ).
子どものときは苦手だったんですけど,酒を覚えてからボチボチと...
あーありがとうございます.
なんだかね,年のせいか あっちこっち調子が崩れてしまっていて,修復中です.
そうそう,ゆっくり.妄想しながら(笑).
by midori (2009-02-21 20:44) 

みなみー

えーーーーーーーーーーーΣ('◇'*)
おいしいのに~~~~~~
でもまあ、掟じゃしょうがないやね~
私は食べますが。
でもトマトは食べませんが。(掟ではなく嫌い)

by みなみー (2009-02-26 19:22) 

midori

みなみー様 nice!ありがとうございます.
おいしいのかー.くそー.
私,美味しいものにそれほど興味というかこだわりが無くて,
「歯ごたえ」&「喉ごし」さえ良ければいい,という人間なので,
神様は「ものすごく歯ごたえがある」という噂なので,
一度ぜひ・・・イカン,イカン.
あっここにも嫌トマト派が.同志.
by midori (2009-03-08 08:00) 

midori

shino様 nice!ありがとうございます。
by midori (2009-05-16 17:45) 

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